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旅で出会った忘れられない人たち
Ayato
4年間のOL時代、仕事と人間関係のストレスで弱っていた私は、 このままここで年老いていくのはやだ!まだ若いんだし今しかできないことをしてや る!と、退職。
高校時代から地理が大好きで、大学もワンダーフォーゲル部に所属。 国内を中心に山に登り、旅しまくり、と放浪癖のあった私でしたが、 仕事していたら行くことがまずできないであろう南米とヨーロッパ周遊にターゲットを絞り、 退職の1年前から、ああでもないこうでもないと計画を練り、 記念すべき2001年、実行に移したのでした。
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Vol.6 Anconaのフェリー案内人 2002.7.16 update 
イタリアのAncona港で、私はギリシアに渡るフェリーのチケットを買い、日本の家族へ今からギリシアへ渡るよと国際電話を済ませ、ターミナルの前から出発するという乗船口行き送迎バスに乗るため表へ出た。イタリアではほとんど英語が通じず苦労したが、やっとその苦労から離れられると内心ほっとしていた。

 混雑したターミナル前には、たくさんの自動車と人々が行き交っていた。こんな狭いところからバスが出られるのかしらと思いながらも、チケットカウンターの女の子がしてくれた、たどたどしい英語の案内を信じてしばらく待った。
 しかし一向にバスは来ない。出港時間は迫る。私は焦り始めた。近くにいた人に尋ねたが、やはり英語が通じない。もう一度チケットカウンターへ戻り、確認するが同じことを言われるだけ。私は歩き始め、そして走り出した。ターミナルのずっと向こうに見えるフェリーがそうかもしれない、けれどそこまで走って行ってもし違っていたら、それこそ間に合わないかもしれない、そう考えるとまた立ち止まってしまった。そして同じようにフェリーに乗ろうとしている人がいないか、きょろきょろし探した。しかし、混雑した港でそのような人を見つけるのは不可能だった。どうしよう、もうフェリーが出てしまう、そう思ったとき、私より少し年配の笑顔の優しい男性が英語で私に声を掛けてきた。久しぶりに聞く流暢な英語だった。

「さっき、チケットカウンターで君の会話を聞いてたんだけど」
驚いて振り返ると彼はさらに続けた。
「君の乗るフェリーはあれだよ。急がないと時間が無いよ。一緒に走ってあげるから」
そして彼は、乗船口が見えるところまで一緒に走ってくれた。
私は走りながら振り返り、 「ありがとう、ほんとにありがとう!」と叫んだ。 彼は笑って手を振った。きちんと握手をしてお礼が言えないまま、私はフェリーに駆込んだ。

 定刻通り、フェリーは出港した。私はデッキから港の雑踏の中に彼の姿を探したが、彼の姿は見届けることはできなかった。感謝の気持で胸がいっぱいで、涙がこぼれそうだった。ほとんど言葉の通じない国で、しかも心細い一人旅で、彼の親切がどれほどありがたかったことか!どんどん遠くなる港を見つめたまま、私は、フェリーまで一緒に走ってくれた彼を始め今まで私に手を差伸べてくれた人々の笑顔を思い出していた。その思い出に浸りながら、私はいつまでも港を見つめていた。


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