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チューリッヒ→ベルリン
 I lost the date.
しかし、旅の物語はまだまだ続く。

 僕は夜行列車に揺られていた。
少し眠っていたのかも知れない。揺りかごのような車輪の振動は、僕を次の場所へと確実に運んでいた。窓には見たことのないような風景が流れている。これは夢なのだろうか。しかし僕はそれを見極める基準を失ってしまっていた。自分をしっかり確かめる気力が湧かなかった。そのまま時の流れに身を任せていたかった。何もかも放り出したいと言う気持ちとは違う。このままでいることが一番正しいような気がしたのだ。僕は大きくて得体の知れぬ、それでいて優しい渦に巻かれているだけなのだ。そうすることでしか僕は前に進めないのだ。

 自分の存在について考えてみる。あまりにも大きな流れに対する自分を。果たして僕には何が出来るのだろう。結局何も出来ないのだ。その渦に優しく巻き込まれるしかなかった。これは夢なのだろうか。それとも現実なのだろうか。僕を運んでいる車輪の振動は何を伝えようとしているのか。身体に感じるリズムが緩やかになる。僕の鼓動もそれに呼応して静まっていく。

 いつしか黒い絵の具のような闇が浸されていく。とても心地よい色だ。無の色。決して白では無い。闇はすべてを眠らせる。僕は眠っているのだろうか?ふと自分の視界について集中してみる。やはりそこには黒しか見えない。しかし黒色というのはあまりにも抽象的な感覚だ。必ずその背後には何か見えるはずだ。僕は静かに目を凝らす。全ての感覚を排除して目を凝らす。すると細かい無数の塵のような点が浮遊しているような気がする。TVの科学番組で見た水の分子のような映像だ。黒の中で踊る数えきれない点。溢れそうだ。しかしそんな僕の感覚はやがて確実に鈍く落ちて行く。それと戦うためまた目を凝らす。その戦いはとても無意味なのかも知れない。僕は身を任すべきなのかも知れない。身体の疲れがすべてを放りだしてくれと懇願している。まるで鈍い鉛のよう。深く深く潜って行く。もう太陽は見えない。空の色も思い出せない。僕は時間を失ってしまった。カモメは何故自由に空を飛ぶんだろう。そしてどこに行くのだろう。


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