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ベルリン動物園 ベルリン

 最寄りの地下鉄の駅から宿までは驚く程近かった。これが僕らを安心させた。もうあの重い荷物を引きずって歩かなくて良いのだ。宿のスタッフは皆とても親切で、ドミトリーのベットも快適だった。僕らは何か大きな仕事をなし終えたような心地よい気分になった。彼はこの後ベルリンに住んでいる友だちと会う予定があったので、僕らは夜まで別行動を取る事にした。  実は、僕は昨日の晩ある決心をしていた。もう一泊した後アムステルダムに向おうと決めていたのだ。カレンダーを見ると、日本へ帰るフライトの日まであと一週間しかないのだ。いつまでもT氏に頼ってはいられない。次に向わなくては。アムステルダムは念願の地だった。常に頭のどこかで待っていた。そう、僕は次に向わなくてはいけないのだ。

  T氏とは中央駅まで一緒に行って、そこで別れた。お互い8時位には宿に戻ろうと約束した。久しぶりの一人の時間だ。僕はその足でベルリン動物園に向った。中央駅のすぐそばにあって、駅名にもドイツ語で「動物園駅」と言う言葉が付いているのだ。僕は前からそこに行ってみたかった。ヨーロッパ唯一のパンダがいるからだ。僕はパンダがとても大好きだ。とても平和な気持ちになる。パンダには天敵がいないと聞いた。中国の山奥で、ずっと静かに笹を食べていたのだろう。僕は早る気持ちで門をくぐった。入り口にはインド象の広場があった。なんだか上野動物園の象と同じで、相変わらずゆっくりと歩いていた。象には悪い奴はいないんじゃないかなと思った。園内はとてものどかな雰囲気で、ベビーカーを押している家族が幸せそうに歩いている。子ども達が泣いたり走ったりしている。多分世界中どこだって動物園は変わらないんだろうな。昔、少年が動物園の動物を全部逃がしてしまう小説を読んだ事がある。僕にはその気持ちが何となく分かるような気がする。でもその物語は、結局収拾がつかなくなって大変な事になるんだけど。

 そんな事を考えているといつのまにかパンダ舎に着いてしまった。ガラス越しにパンダがのっそり歩いている。なんだか気が抜けてしまう様子で、ときおりボーっと笹を食べている。そしてまたふと思い付いたようにゆっくり歩き出す。のんきなものだ。フーテンの寅さんのように見えた。バオバオという名前らしい。見ているとそんな感じに思えてくる名前だ。僕はガラスのすぐそばに座ってしばらく彼を見ていた。彼は別に僕を気に止めるでもなく、ゆっくりそばを通り過ぎて行く。僕も何も考えずそこに座っている。そんな風に何時間か過ぎて行く。そのうち時々目が合うようになる。お互いしばらくボーっと見つめあう。しばらくするとまた彼が歩き出す。なんだか僕の方がなまけものに思えてきた。そして隣の部屋で寝ているヤンヤンの様子を見に行く。彼女は気持ちよさそうに寝ている。時々身体を伸ばしてあくびをしている。ふと僕は、二人は恋をしているのかなと思う。喧嘩とかするのかな、と心配してしまったりした。気が付くと日がだいぶ傾いている。僕はすっかりパンダに心を奪われてしまっていたようだ。閉園時間が迫ってきた。僕はやっと腰を上げて立ち上がった。
 彼らにはまた会いに来なくてはと思った。何よりその恋の行方が気になる。


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